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『ダイアモンドの犬(Diamond Dogs)』の想い出

苦手な夏が過ぎ、大好きな秋なのに。10月は体調を崩し今もそのシワ寄せを痛感している日々。大好きなボウイ様。更新できないことで少し焦ってもみたけれどマイペースでいいよね!って自分に言い聞かす。でも、そろそろ更新しよう。書きたい(言いたい)ことっていっぱいあって、でも緊張する。何故だろう...私にとってボウイとは辞書に出てくるカリスマという意味に近い、そんな存在。14歳からずっと一緒に。どんなに勇気付けられたり心癒させて来ただろう。私はボウイを傍で見たいとも思わないし、お会いしたいとも思わない。カリスマだもの!畏れ多い。ただ、”好き”という気持ちを継続していられることだけで充分。
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最初に買ったレコードは『ステージ』。中には『ジギー・スターダスト』からの曲が多く収録されていると知り、早く『ジギー・スターダスト』のアルバムが聴きたい!とレコード屋さんに通っていた。でも、当時は廃盤で再発するまで待たなければならなかった。そんな中、先に購入した1974年作品の『ダイアモンドの犬』はとてもショッキングだった。日本盤のあのピンクの帯が好きでボウイのレコードが少しずつ増えていくのが嬉しかった。ジャケット、解説を見つめながら聴いていた。レコードは片面が終わるとひっくり返さないといけない。CDが主流の時代になって思うのだけれど、やっぱりレコードがいい。カセットテープだと大抵は60分テープで収まる作品が多かったように思う。片面で20何分位。必死でボウイの声、メロディ、バックの音を聴く。当時は何かしながらボウイのレコードを聴くという事はなかった。なので、集中力にも個人差があるけれど、私にはレコード盤が相性が良いのだ。A面が終わるとB面に。その時のワクワクした気分。そして、B面が終わり、その余韻をまだ楽しんでいられる。今だと、何曲目とかが覚えられない。

《Side A》
1.未来の伝説 Future Legend
2.ダイアモンドの犬 Diamond Dogs
3.美しきもの Sweet Thing
4.キャンディデイト Candidate
5.美しきもの(リプリーズ) Sweet Thing(reprise)
6.愛しき反抗 Rebel Rebel

《Side B》
1.ロックン・ロール・ウィズ・ミー Rock'N Roll With Me
2.死者の世界 We Are The Dead
3.1984年 1984
4.ビッグ・ブラザー Big Brother
5.永遠に周り続ける骸骨家族の歌 Chant of the Ever Circling Skeletal Family


このアルバムは不気味だった。”怖い”空気に呑み込まれてしまうような感じ。でも、ポップ!そこがボウイの魅力でもある。解説のお陰で収録されている『1984』という曲が、ジョージ・オーウェルの未来小説に関係があると知った。文庫本で比較的早く見つかり読んだ。私は外国文学ではカフカが最初に好きになった作家で、不条理な世界、何か怖い未来の予見のような感覚は好きだったように思う。ハーレクイン・ロマンスの小説よりもずっとこういう小説の方を好んでひっそり読んでいた。でも、『1984』のような作風の小説は初めてだったので不思議な気分だった。でも、ボウイの曲から感じられるものと同じように、何かヒリヒリと冷たいものが心に突き刺さった。

それから、随分時が経ち、映画『1984』を観ることに。サントラはユーリズミックスだったので嬉しかった。先にサントラを聴いたのだけれど、主役はジョン・ハート!神経質そうで繊細。英国紳士な男優のお一人。映像化されるとまた違うイメージが生まれる。そう!この映画にはリチャード・バートンも出ていてこれが遺作となるのだけれど、既にご病気だったのだと後から知る。顔色が良くない。役者魂に天晴れ!と思う。共に存在感があり、流石という感じ。(この映画の感想は、またいつか綴ろうと思う。)

このアルバムを学校に持っていった。ボウイのアルバムを入手する度にクラスメイトに見せたくて!”カッコイイでしょ!”って。あまり反応は無かったのが現実。高2の時の倫理社会の先生は学生の時に聴かれていたそうで、お話をして下さった。倫社は好きだったのでさらに好きになった。クラスのある女の子が”これ、お兄ちゃん、持ってる。でも、ちょっと違うけど。”って言った。嬉しかったけれど、何か違うという言葉が気になったので何が違うのか知りたかった。ところが、その彼女は帰って見てみないとハッキリ分からない風だった。私は翌日の彼女の返事が気がかりで仕方がなかった。そして、そのお兄さんが持っている『ダイアモンドの犬』は帯の大きさ等が違い、価格も違うと判明。その時は分からなかったけれど、それは所謂日本盤の初回版。オリジナル盤だったのだ。私がミドり電化で購入したものは再発盤だと知る。でも、中古盤屋さんが何処にあるのかも知らないし、何か寂しい気持ちになった。その時の私の教室の席まで今も思い出せる...もう20年以上も前のことなのに。

VELVET MOONを始めた事は本当に良かったと思う。友人達と音楽がきっかけで出会えた。ボウイはお店の核となるお方なので、自然とボウイ・ファンの方が来てくださるようになった。ある日、引越しのため(費用が必要で手放したくないけれどと)収集されていたボウイのレコードたちを沢山売りに来られたり。レコード屋さんにもお知り合いの店主の方が何人かいたけれど、ほとんど今はもうそれらのお店は無い。私は今もどうにかこうにか、VELVETと共に、そしてボウイ棚を偶に見つめに行きホッとする。変われないみたい。

*上の絵ポスター(アルバム・デザイン共に)は、フランス(ベルギー)のギィ・ペラートによるもの。カッコイイ★
by bowieworld | 2006-11-27 10:07 | 素晴しきアルバム・楽曲たち
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