映画『バスキア』の公開からもう10年以上経っているのだと今日気がついたところ。あのワクワクしながら劇場で観ていた日はついこの前のようなのに。ボウイのアイドルでもあるアンディ・ウォーホルに扮するお話は公開前から話題になっていた。ウォーホルが実際に着用していたカツラやサングラスやジャケットをボウイが嬉しそうに着用して成り切っている。肌の感じは特殊メイクの効果もバッチリ。実在した人物を演じるのは『エレファント・マン』(ブロードウェイ)のジョン・メリック役以来のこと。購入したパンフレットを久しぶりに眺めていた。どこに書いてあったことか...という事が多々あるのだけれど一つ判明した。少しドキリ!とするお話だけれど。 『エレファント・マン』のオープニングの出席客にウォーホルも含まれている。後に判明したのは、ジョン・レノン殺害犯マーク・チャップマンも、レノン暗殺がうまくいかなかったときに時間つぶしに『エレファント・マン』を観劇していた事実である。楽屋口でチャップマンはボウイに接近しようとさえしている。チャップマンの気が変っていたら?ちょっとぞっとする話だ。 ”これを見てくれ”とサイフ入れ(これが古びてどうってことがないサイフであることに妙に感動した)から、端の方が折れまくった写真を出して見せてくれたのが、ウォーホル・メイクの自分の写真だった。ウォーホル役をとても楽しんだと語ってくれた。 なんだか、私の携帯の待ちうけ画面のボウイ様を眺めてはニヤリとする感覚と少し似ているようで嬉しいお話。こういうボウイがまた好きなのでもある(嫌いなところは探そうとはしないのだけれど)。アイドルであるウォーホルを楽しく演じていたボウイは観ていても伝わってくる。 「彼は描いている時が、一番幸せだった」とシュナーベルがバスキアについて語っている。表現が尊敬され、愛されている時、そこに住む人々は幸福といえる。デヴィッド・ボウイの、身体的にも精神的にも窺えるアンディ・ウォーホルの演技にも暖かな心を感じた。そういう意味で、ほんの10年ほど前だが、バスキアの生きていた頃は、予期せぬ惨劇がいつでも幸せの隣にあったようだ。ウォーホルの死が、バスキアにとってそうだったように。- 村上龍
by bowieworld
| 2008-04-30 20:35
| 映画・役者としてのボウイ
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